総務委員会行政視察 2026(令和8)年8月10日
2026(令和8)年8月10日、愛知県豊田市を視察しました。
「WE LOVE とよた」について【愛知県豊田市】
取組の背景、目的

豊田市では、2008(平成20)年の世界金融危機の影響により、法人市民税収入が前年度比9割以上減少した。こうした状況を受け、地域経済の沈滞ムードを払拭することを目指して、2009(平成21)年3月に「とよた元気プロジェクト」が始動し、その中で「WE LOVE とよた」という合言葉が生まれた。
その取組を更に推進するため、2017(平成29)年3月に「WE LOVE とよた条例」を制定した。経済活性化という視点にとどまらず、地域愛の醸成など、まちづくり全体へと取組を広げるために活用している。
取組の内容と現在の状況
- 条例制定の意義を「条例制定の過程で市民等を巻き込んだ議論を経て合意形成を図ってきたこと」「議決を得た条例として、市民等の取組のよりどころとなっていること」の2点に整理し、市民活動を後押しするものとして条例を位置付けている。理念条例であり、市民の「想いの共有」などを目的としていることから、条例そのものも非常にシンプルなものとしている。また、「豊田市民の誓い」(いわゆる市民憲章)との関係性を明確にし、「WE LOVE とよた条例」は、「豊田市民の誓い」が目指す地域社会の実現を後押しするものとして位置付けている。
- 取組を「魅力を知る」、「魅力を暮らしに取り入れる」、「魅力を発信する」、「魅力を高める」、「理解と共感の輪を広げる」の五つの視点に整理している。特別な活動としてではなく、日々の暮らしの中にある身近なものとして捉えられるよう、具体例を示しながら市民への啓発を行っている。こうした啓発を契機として、市民・企業・団体による自発的な取組も広がっている。また、8割を超える市民、9割を超える子どもが合言葉やロゴを認知するなど、高い認知度を有している。
- 具体的な取組として、ロゴマークを作成し、パンフレットやシール、缶バッジなどを活用した啓発を行っている。特にシールは子どもたちに人気があり、ノートに貼るなど、身近な場面で活用されている。そのほかにも、市民主体の実行委員会が主催する「WE LOVE とよたフェスタ」や「WE LOVE とよたアワード」など、市民活動と一体となった取組が行われている。
- 「WE LOVE ○○」(○○には豊田市内の地名を入れる)という、各地域で活用できるご当地ロゴも展開している。これにより、豊田市全体という単位だけでなく、それぞれの地域における地域愛を育む仕組みも構築されている。
今後の取組と課題
- 若年層の認知度向上が課題となっている。豊田市は、就職を機に若年層が多く転入する都市構造を有しているため、若年層の認知度は比較的低い。この対策として、転入者向け冊子の作成、ウェブサイトの工夫、シティプロモーションとの連携などを進めている。
- 「言葉は知っているが、具体的にどのような行動が期待されているのかわからない」という市民も多い。今後は、「まず認知度を高める」段階から、「取組の中身を理解し、具体的な行動を促す」次のステージへの移行を目指している。
大府市への反映・所感
いわゆるシビックプライドの醸成を目指す取組は以前から行われているものの、それを条例によって後押しする取組は、全国的に見てもまだ少ないと考える。そのような中で、「WE LOVE とよた条例」の取組は、既に市民の間に広がっていた合言葉をまちづくり全体の理念として位置付け、市民の活動を後押しする仕組みとして条例化している点が特徴的であると感じた。
また、条例を制定すること自体が目的ではなく、条例制定後も、市民との共感をつくりながら取組を継続し、理念や合言葉を実際の地域活動や市民の行動につなげていくことが重要であると感じた。特に、「WE LOVE とよた」というわかりやすい合言葉を市民と共有することで、市民が自ら考え、行動するきっかけとしている点は、本市においても参考になる。
一方で、こうした取組は、行政からの押し付けにならないことが重要であり、市民それぞれの価値観や活動の方法を尊重しながら、市民主体で進めていく必要がある。条例についても、理念や方向性を示すものとしてわかりやすくする一方、細かく規定し過ぎることで強制的なものとならないよう、そのバランスが重要であると感じた。
本市においても、「大府が好き」と思い、まちのために行動する人を増やしていくことが、地域力を高める上で重要であると考える。そのためには、子どもの頃からまちへの愛着を育てる取組や、若い世代、転入してきた市民が地域に関わるきっかけづくりなど、幅広い世代を地域活動につなげていく視点が必要である。
また、本市と豊田市では、まちの成り立ちや発展の経緯が異なるため、豊田市の取組をそのまま取り入れるのではなく、本市の地域性やこれまでの地域活動を踏まえながら、今後の取組の参考にしていきたい。その上で、条例や合言葉をつくることをゴールとせず、市民が主体的に活動できる基盤をどのようにつくり、実際の行動につなげていくのかを、今後の調査研究において検討していきたい。
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